飛行機内

LCCの参入で変わる航空業界

LCCの参入による新しいビジネスモデル

航空会社は以前から大学生の就職活動で人気企業としてトップクラスに連続ランクインをしている、日本国内では安定的で人気の高い業種です。
ですがかつて業界最大手として日本を代表する企業として知られてきたJAL(日本航空)が会社更生法の適用を受けたことで、航空業界全体は大きな変化を遂げました。

これまで航空会社が就職活動において人気業界であった理由としては、長年JALとANAという2強企業が業界を独占的に支配してきたことと、空路というインフラは景気によって淘汰される可能性がないという安心感からでした。
しかしそのような保護された環境であったからこそ、過剰な福利厚生や歪んだ社内倫理といった大企業内の問題を作り出してきたというふうにも見ることができます。

最も航空会社が隆盛を極めた80年代の後半には、「テンミリオン計画」という海外旅行者1000万人を目指すという施策もあり、日本の航空会社は国の保護を受け価格競争をほとんど経験しないまま安定的な収益をあげてきました。

ところがその頃から既に世界各国ではLCCという低価格を売りにした航空会社が激しい価格競争を繰り広げており、その波がようやく日本に届くころには瞬く間に競争に負けてしまうことになりました。

LCCがとった低価格戦略とは

LCCとは「格安航空会社」と和訳されるほど、その運賃の低さが最大の特徴となっています。
航空機は一回のフライトを行うためには多額の費用がかかるため、運賃を値下げするのは簡単なことではないと長年言われてきたのですが、その常識を大きく覆したところにビジネスモデルとしての成功があります。

LCCを世界で最初に始めたのは米国のサウスウエスト航空でした。
具体的な方法としてはまず航空機内で行われてきたサービスの大半を省略し、多額の費用がかかる長距離路線をやめたり、より近い距離で行き来ができる空港を使うといったものが挙げられます。
他にも指定席や機内食を廃止し、内部で働くスタッフたちが自発的にアイディアを出しあうことができるサービスにしていくというような合理的な経営を進めていったのです。

その手法には「社員が第一、顧客は第二」といった考え方のように、やや極端な面もあり完全に評価をされるというわけでもないのですが、後に世界中で台頭してくる格安航空運賃の航空会社のビジネスモデルの1つの見本となったことは確かです。

なおサウスウエスト航空は今も安定的な黒字経営を続けています。

日本におけるLCCと低価格化の流れ

日本においてLCCが急激に力を示し始めてきたのは90年代の半ばからでした。
その最初のきっかけになったのが94年に導入された「ベックス運賃」という正規割引運賃としての個人客への割引制度です。

また、それまで団体運賃と個人運賃には大きな差額があったところその差を埋めるような料金設定をする会社も出てきました。
今も航空会社で直接航空券を手配するよりも、旅行会社を通して購入した方が安いという場合を見かけますが、これもHISを始めとした旅行会社が航空会社との提携により始めた低価格運賃の実施策の1つです。

今や日本でも当然のように空路で見かけるようになったLCCですが、今後もよりサービスの見直しやムダの多い業務の廃止により大きな変化を航空業界にもたらしていくことになるでしょう。