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ビジネスモデル特許への誤解

ビジネスモデルとは

仕事柄、特許や商標などの相談を社内の各部署から受けます。
まあ、メーカーの知的財産部の要員だとそういうことになります。
最近、間違えて相談に来る人が多いのが、ビジネスモデル特許に関する相談です。
相談にやってくる研究員には、まずビジネスモデルとはどんなものか簡単に説明することにしています。
ビジネスモデルとは、もうけを生み出す製品やサービスなどによって起こる商売の手段のひとつと言えます。
例えば、民放のテレビ番組とコマーシャルで考えます。
民放のテレビ番組を見たからといって、視聴者の我々は料金を民放に払ってはいません。
民放はテレビ番組と同時にコマーシャルを放送して、お金はコマーシャルを行っている企業から支払ってもらっています。
つまり、収益の構造が番組の視聴料ではなくて、コマーシャルを放映することのサービスの対価であるということです。
だから、視聴率が高いとそのコマーシャルは沢山の人に見られていると考えて、弊社をはじめコマーシャルのスポンサーとして高い対価を民放各局へ支払っているということです。
これがビジネスモデルです。

ビジネスモデルが特許として認められるには

昔、紙芝居屋さんというのがありました。
これもただ紙芝居を見せてくれるのですが、紙芝居屋さんのおじさんの収入は、紙芝居を見る時に売られている駄菓子の売り上げ代金によります。
これが紙芝居屋さんのビジネスモデルです。
ビジネスモデルというのはこのようなもので、これ自体にはなんの特許性もありません。
お菓子のキャラメルにおまけをつけて売り上げを伸ばすというビジネスモデルは、最初に考えたお菓子メーカーのものですが、お菓子メーカーのどこもがすぐに真似をして、そして誰からも特許侵害とは訴えられれることもありません。
ただ模倣しているという信義上での問題はあるとしてもですね。
ビジネスモデルそのものは人為的な決まりごとのようなものですから、特許の要件のひとつである「自然の摂理などを活用した技術的思惑の創造政策」を満たさない限りは、ビジネスモデル特許として他者が模倣することから保護することはできません。

ビジネスモデル特許として、シティバンク・ネヌ・エー社の「電子マネー特許」というものがありますが、これは電子マネーを運営するための機械や暗号化などの一般的な法則を使い、更には技術における創造性などの思想にもとづいて、特許と認められたと考えていいのでしょう。
また、この電子マネーを運営するソフトウェアは著作権法で認められる著作物として保護されることになります。
そこで、例えば医薬品の在庫管理システムを構築し、不足してきた医薬品を病院に予め配送するためのロジスティックシステムを開発して、顧客を独占したいというビジネスモデルを考えているのであれば、医薬品の売れ行きを予測するためのオペレーションズ・リサーチの手法で新しいアルゴリズムを考えるか(アルゴリズムは特許になります)、医薬品を損傷なく運ぶ運搬箱を考えれば、それはビジネスモデル特許として弊社に利益をもたらしてくれるかもしれません。